検診などで尿潜血反応と指摘された人の約80%には異常がないと言われております.しかし,残りの20%の人に尿路腫瘍(癌)があったり,糸球体腎炎,尿路結石や前立腺肥大症があったりします.
諸家の報告によると顕微鏡的血尿(肉眼では判らない血尿)の0.4~3.8%の人に尿路悪性腫瘍を認めると言われています.腎泌尿器科としてはこれらの病気を見逃さないため以下の検査をします.
初診日
検尿
尿細胞診:尿路上皮の癌の検査です.
血液検査:必要があれば糸球体腎炎の検査をします.50歳以上の男性は前立腺癌の検査(PSA)をします.
エコー:腎臓,膀胱,前立腺を調べます
男性は直腸診にて前立腺を検査します.高齢女性の場合、必要に応じて会陰部の視診をいたします(尿道カルンクラという良性腫瘍の有無の確認)。
再診日
血液検査や尿細胞診などの結果説明をいたします。必要があれば腹部レントゲン, 膀胱鏡などの追加検査をします.
尿細胞診に軽度の異常を認めた場合は、3ヶ月後に再検査をいたします。
すべて異常がなければ終診ですが,40歳以上の方の場合は1年毎の尿検査とエコーをお勧めします.
もっと詳しく・・・・・・・・
顕微鏡的血尿の原因で頻度の高い順に列挙すると,前立腺肥大症(13%),尿路結石症(5%),尿路感染症(4%),膀胱癌 (4%),腎炎を含む腎疾患(2%),他の泌尿器癌(1%)と報告されています.
尿細胞診とは,尿路(尿の通り道)に癌があると癌細胞が混じることが多いので,顕微鏡で尿の中の細胞を病理医に調べてもらう方法です.しかし,その陽性率(癌細胞が尿に混じること)は悪性度の高い癌では80%近いですが,悪性度の低い癌の場合はわずかに10%と報告もあります.癌がある場合,全体では約50%は見つけることができると考えています.
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