今回は米子の山本先生(山本泌尿器科クリニック理事長)のブログの引用です。
こんなことあったな と思い出しました。
あの頃は慢性的に寝不足か二日酔のどちらかでHCUのブラインドから差し込む朝日が眩しかったのを思い出します。
医者に成り立ての頃はなにも出来ず、患者さんにしてあげられることも限られていて、歯がゆい気持ちをいつも持っていました。
経験を積んだ今は、"できること"と"できないこと"がハッキリわかり余計に辛いこともあります。
山本先生のブログ・・・
パックのオレンジジュースを見ると思い出す患者さんがおられます。
僕が研修医一年目の膀胱癌の患者さんです。
シナ事変から太平洋戦争にかけての歴戦の勇士で、名前はKさん。ガンの大手術をうけられて、HCU(ICUと一般病棟の中間、HIGH CARE UNIT)におられました。本当に温厚で楽観的でいい方でした。
手術後、呼吸機能が悪く酸素分圧が上がらず、栄養状態も少しずつ悪くなってきてました。
ある日、僕と同期のS先生、二年先輩のW先生とガーゼ交換に行きました。
「Kさん、どうですか?」
「えらいいとこはないけど・・・」息も荒く明らかにさせ我慢しているのがわかります。
「何かほしいものはありませんか?」とW先生
「オレンジジュース・・・」
「・・・・・・・」
突然W先生が
「おい、おまえら売店にいってこい!!!」
「はい?、いいんですか?」
「行ってこい!!っていってんだろ!!」関東弁の巻き舌で怒鳴るW先生。
「あの・・・・・」
「おめーーらが行くんだよ!!ごちゃごちゃ言わずに行ってこい!!!」
「はいっ!!」と二人で一階の売店に走りました。
そのオレンジジュースをKさんはとても美味しそうに飲んでくれました。
それから数週間後、歴戦の勇士は亡くなられました。
おわり。
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