PSAとは前立腺癌があると上昇する血中腫瘍マーカーです。前立腺癌では約90%以上の人が高値を示します。しかし,前立腺肥大症の方でも高い値になりますし、加齢とともに前立腺癌がなくても上昇することが知られています。その他、急性前立腺炎などの炎症でも急上昇することもあります。つまり、"PSAの上昇=前立腺癌"があるという訳ではありません。PSAの上昇を認める場合、以下の手順で検査します。PSAが4〜10ng/mlで約30% 10 ng/ml以上で約60%、40 ng/ml以上で100%の確立で前立腺癌があるとも報告されています。
初診日
1.PSA・検尿を検査します
2.エコーで前立腺を観察します
3.直腸診(直腸に指を入れて前立腺の硬さをみます)をします
4.ここまでの検査がすべて正常であれば終診です。念のため6ヶ月?1年後には再度PSAの検査をしてください.
5.PSAが当院の測定でも異常の場合は(4ng/ml以下が正常),MRI検査を施行後、経直腸的エコーと前立腺生検を行います。当院では日帰り検査となりますので、1時頃から生検(仙骨麻酔などの準備に20分ほど掛かりますが、生検辞退は数分で終わります)し、出血が少なく排尿できれば3時には帰宅してもらいます。
再診日(前立腺生検による組織学的検査の結果が約10日後に判ります)
1.組織学的検査にて癌がある場合は,さらに精密検査が必要です。
2.PSAが4~10ng/mlで組織学的検査にて癌がない場合は,3ヶ月おきにPSAの検査をします.PSAの上昇が続く場合は,あらためて前立腺生検をする必要があります。
3. PSAが10ng/ml以上で組織学的検査にて癌がない場合は,1年以内に再度,前立腺生検を御願いすることもあります。
PSAが高い場合は,前立腺生検による結果が正常でもPSAを定期的に測定する必要があります.その理由は前立腺生検の針が癌に当たっていない可能性もあるからです。
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